たんけん
くすのきさん (6歳になる年長の子どもたち) とともに おむすび を持って山に入ります
お母さんとはなれて 自分のことが自分で できるようになったらいけるのです
山の入口で
[山の中に入らせてください] とお願いをします
よく 耳をすまして 山の声をききます
そうして たんけんは はじまります
、
人工的なものが何もない 大自然の中に入っていくと 子どもたちは本来の自分に戻ります
子どもは自然に近い といつも実感します
ただ 20年ほどたんけんして 最近感じるのは 時の流れとともに 周りの様々な環境も変化し続け 親子ともに そこからの影響を強く受けているということ
まずため込んでしまった その必要のない刺激を吐き出さないと 本来の自分には戻れない と感じています
それは わたしたち自身が更に 意識を高めることが必要で 周りとの繋がりや 働きかけも 更に努力する必要がある ということを気づかせてくれます
いつも自然や子どもたちから 学ぶことばかりです
、
山から出るときも もちろん 「ありがとうございました」 と心からお礼をします
この山だからこそたくさんの育ち合いができたこと 心から感謝して無事たんけんができた喜びを伝えます
子どもたちの内側にも 自然やみえないものに対する畏敬の念が生まれます
それは少しづつ子どもたちの中で育ち いつか大きな生きる力になっていきます
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たんけんにいくときは なるべく 荷物は減らし どうしても必要なものだけにします
音のするものや 目につく派手な色 物はさけて素朴なものにします
おむすび 水筒 たからもの袋 … 最小限に 自分で準備します 足りないくらいがいいのです
山では 生きてゆくに必要なものを みつけることができます そして必要な分だけ わけてもらえます
何もない中で 必要なものをみつけだし つくりだし 工夫して生きる
それが 生きる知恵です
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何も荷物はいらない からだひとつでいいくらいです
ただひとつ持つなら おかあさんのおむすび
それはおかあさんそのものだからです
山の中 自分の力を出しきって踏ん張れるのは このおむすびのおかげ
おむすびを食べることはおかあさんと出会うことです
緊張と頑張りの連続のなか ほっとするうれしい時間であり 現実に引き戻される懐かしい時間です
みんな本当に いい顔でたいらげます
でも このおむすびも 足りないくらいがいいのです
そう できれば いつもより少し小さめの 塩をきかせたおむすびだけ
山の中 からだのなか なるべく持ち込むものは最小限にとどめたい
、
山の宝物は 季節によっていろいろです
宝物をいただくのも たくさんでなく 本当に必要なだけにします 宝物は山の命だからです
、
自然からかけ離れてしまった私たち人間は 今 自然の中に入る必要を感じています
自然の中で生かされている私たち
もっとも自然に近いはずの子どもたちも すぐには自然にもどれないのだから
けれど自然は どんなときも変わらず私たちのそばにいて
私たちがその気になればいつでも 迎えてくれるし 多くのことを教えてくれます
大自然の恵み 本当の美しさ
それは ただ美しいだけじゃない 怖れ はかなさ 暗さ 面白さ 豊かさ 光と陰
いろいろな面があり そこには必ず命がある
すべてのものには 今みえている面だけではなく 必ずいろんな面がある
そして 常に 変化し続けている
だからこそそれは美しく 魂を揺さぶる感動があり
そこに恐れ敬う畏敬の念が生まれる
、
子どもは
純粋に その大いなる存在のすばらしさに 気づき
自然にとけこんでゆく
本当の喜び その中にも緊張や怖れ 期待 勇気や冒険心など
ひとりひとりが 様々な思いをふくんで
交差し 葛藤し 繋がり
そのたくさんをふくんだ喜びと 困難に立ち向かうがんばりや努力 涙 助け合い 育ちあい 達成感…
そんなさまざまなドラマが毎回展開され
それはまさに
山の中には 人生のすべてがある と感じずにはいられません
小さい頃のそんな自然の中での体験 育ちあいは
子どもの中でしっかりと根をはり 大きく育ち
その子が生きてゆく上での 大きな支えとして
一生の宝物になるはずです
子どもとともにたんけんする大人である私も
自我 自欲を手放し 心も身体も浄化
からだをはっての
よほどの覚悟が必要となります
行く度に 浄化され 教えられ 育ちあえたことの幸せを感じつつ まだまだ修行の足りない自分を思い知らされます
大自然と 子どもたち 本当にありがとうございます
、
でも いつか 意識せずとも
すべての人が 自然とともに生き
自然な姿で その人らしく生きられる時が
くることを 願っています
そして
すべての命の
本当の幸せを 願っています
、
くすのきさんすだちの後 来年のくすのきさんの子どもたちも
ともに たんけんの機会を持ちます
くすのき つながるたんけん です
(じ)